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末期がん(肝臓がん)闘病記 207

207:少しずつ実感が湧いてくる

~この闘病記の内容は2005年(平成17年)11月頃の出来事です。~



胆汁のチューブが抜けてから数時間が経っていた。


私はベッドの上でそっとわき腹に手を当ててみた。

チューブは取れたがチューブが通っていた穴がふさがるのに数日かかると言われていた。

「穴がふさがるまでは胆汁の通り道になっていますから
胆汁が出てきてしまう事もあります。」と主治医から言われていた。


私はその穴から胆汁がしみ出てこないかつい気になってしまった。

ガーゼが何枚も重ねて当ててはあるがしみ出て来ればすぐに分かる。


私は何回も手を当ててみるが大丈夫だった。



妻に無事胆汁のチューブが抜けた事を連絡しようと
ベッドから立ち上がった。

その瞬間、またもや無意識に胆汁容器のヒモを探してしまった。

やはり無意識に手が出てしまう。。。

チューブが取れたと言う実感もまだ薄かったのかも知れない。


私は1階に行こうと病棟の廊下を歩き始めた。

健康な人にとっては何も感じないと思うが
この時、自由の身になれた事を実感した。


この【自由】は私にとって忘れられない格別のものだった。


いつも見慣れた病院の中も、その日は晴れ晴れとした感じがした。

エレベーターに乗り鏡に映る自分自身の姿を見た時、
本当の意味で『私はがんに勝った。』と言う実感が込み上げて来た。









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⇒208:『いつもの場所』で振り返る



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